補聴器で音は聞こえるのに言葉がはっきりしない理由【会話の理解能力とは】

ことば

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補聴器をお使いの方の中には「補聴器をすれば音は聞こえるのに言葉がはっきりしない」といった悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。補聴器の基本的な機能は音を大きくすることですが、音を大きくすれば全ての言葉がはっきりと聞き取れるようになる訳ではありません。とくに老人性難聴の方は思い通りに聞こえない場面も多いと思います。言葉がはっきりするかどうかはその方の語音明瞭度というものの状態によります。現在どれだけ言葉を明瞭に聞き取る力が残されているのか。このことが補聴器の効果の感じ方を大きく左右します。

「音が聞こえる」と「言葉を理解する」は別問題

「耳が遠くなったら補聴器をすればまた以前のようになんでもよく聞こえるようになる」と思う方もいらっしゃると思います。しかし残念ながらそうではありません。まず難聴になってしまうのには様々な原因があります。年をとったから?病気やケガのせい?遺伝によるもの?ひとことで「聞こえない」といっても人により耳の状態や難聴の程度は違います。しかしどんな方でも共通して言えることは、「音が聞こえる」ということと「聞こえた音声を言葉として聞き分けたり、話の内容を理解する」というのは別の問題だということです。

  • 音が聞こえる・・・食器の音、インターホン、犬の鳴き声、会話相手の声そのもの、など様々な音が聞こえるかどうかということ。この場合の会話相手の声とは言葉や話しの内容がわかるかではなく、相手がしゃべっているか、いないかが聞こえているかどうかということです。
  • 言葉を理解する・・・聞こえてきた音声を言葉として正しく聞き分けたり、話しの内容を理解できるかどうかということ。

補聴器では周囲の音を集め、適度な音量にして耳に届けることができます。今まで聞こえづらかった様々な生活音や話し声はある程度聞こえるようになります。その後聞こえた音声は耳から脳へ情報が送られていきます。そして脳でどんな言葉を言っているのか、その言葉の意味はなにか、どんな話しの内容なのかを一瞬で判断するわけです。これは耳の中にある細胞の状態などによってもかなりの個人差がでてきます。つまり音は耳(聴覚)だけではなく、それに続く脳の働きによって様々な音情報を判断しているということです。

電気信号仕組み

 

最高語音明瞭度が言葉を理解する力の目安となる

では「自分は言葉を聞き分ける力がどれだけあるのか?」これを判断する方法として、語音明瞭度検査というものがあります。病院の耳鼻咽喉科や補聴器専門店にて測定ができます。方法としてはヘッドホン又はスピーカーから聞こえてくる言葉を聞き取り、なんといったのかを紙に記入していくというものです。そのとき音量は大きな音から小さな音まで段階的に変化しながら聞こえてきます。そして一番聞き取りが正解したときの値を最高語音明瞭度と呼びます。その方にとって言葉を聞き分ける力が最高で何%くらい残されているのか?ということを表す値です。この値が会話の理解能力のひとつの目安となります。以下の表は最高語音明瞭度の値による会話理解力の違いをまとめたものですので参考にしてください。

最高語音明瞭度と補聴器使用時のコミュニケーション能力の関係


100%以下80%以上 聴覚のみで会話を容易に理解可能

80%未満60%以上 家庭の日常会話は聴覚のみで理解可能。普通の会話はほとんど理解可能であるが、不慣れな話題では正確な理解をするのに注意して集中することが必要

60%未満40%以上 日常会話で内容を正確に理解できないことがしばしばある。重要な内容は確認することやメモの併用が必要

40%未満20%以上 日常会話においても読話や筆談の併用が必要

20%未満0%以上 聴覚はコミュニケーションの補助手段として有用である。聴覚のみの会話理解は不可能。読話・手話・筆談を使用することが必要

「補聴器フィッティングの考え方」より抜粋して作成 

 

最高明瞭度の値で補聴器の効果の感じ方も変わる

補聴器はお使いになる方によって効果の感じ方に差があることがあります。下の図からもわかるように軽度難聴の方でも最高語音明瞭度が0%のこともあり、重度難聴の方でも50%だったりとその方によって差もありますが、全体的にみますと難聴の程度が重くなるほど最高語音明瞭度も低くなる傾向にあります。補聴器専門店にて適切な補聴器の調整を受けていても、「補聴器をつけるとよく聞こえる」、「補聴器をつけてもよく聞こえない」と評価に個人差があるのは、この語音明瞭度によるものが大きな原因のひとつでもあるのです。

 

平均聴力レベルと最高語音明瞭度の関係

明瞭

「補聴器フィッティングの考え方」より抜粋して作成

○印はそれぞれ1名の難聴者を示しています。上に印がある方ほど最高語音明瞭度が良いことをあらわしています。軽度・中度難聴の方は明瞭度も良い場合が多く、高度・重度難聴になると低下していくのがわかります。

 

言葉がわかりづらい老人性難聴の方との会話で気をつけてあげたいこと

このように補聴器は音を大きくすることで日常生活の聞こえを改善することが目的ですが、難聴になる前と同じようになんでもよく聞こえるというわけにはいきません。とくに老人性難聴の方の場合は、先ほどの語音明瞭度の状態ももちろんですが、会話の途中に知らない言葉がでてくるとそこから話しがわからなくなってしまったり、会話のスピードについていかれないことがあったりして、補聴器をするだけでは解決できないことも多くあるのが現実です。お話しをするときは、補聴器でこちらの声の大きさはある程度カバーできているはずですので、耳元で大きな声で話す必要はありません。ゆっくりわかりやすい言葉でお話ししてあげることが大切です。そのときはなるべくお顔の正面から話しかけ、マスクなどは外してこちらの表情や口元がみえるようにするとわかりやすいと思います。

 

お願い

 

会話のコミュニケーションを保持する上で大切なのは難聴を放置しないこと

「補聴器をしてもどうせ言葉がわからないからやらない」という方がいらっしゃいます。もちろん補聴器使用を強要することはできませんが、補聴器をしていないと会話はもちろん、ご家族に名前を呼ばれていることにも気がつかない、後ろから車が近づいていることに気がつかない、あらゆる物音が聞こえないという状態になります。そのために危険な目に合ったり、周囲の方と意思疎通がうまくいかずにだんだんと家に引きこもりがちになる方が少なくありません。そして厚生労働省の発表によると難聴は認知症の危険因子のひとつとされています。難聴は放置せず、なるべく補聴器を使用して日頃から音が聞こえる状態を保つことをおすすめいたします。

 

情動

 

補聴器は難聴の程度に合わせた機種を選びます

補聴器といってもなんでもいいわけではなく、難聴の状態に合わせた機種を選択しなければいけません。年齢とともに少しずつ聴力も低下していきます。初めて補聴器をお使いになったときよりも聴力が低下し、今お使いになっている補聴器では対応できなくなっていることもあります。最近よく聞こえないなと感じ始めたときは必要に応じてパワーの強い機種にすることで聞きづらさが解消されるかもしれません。

 

シーメンスシグニア社の1primaxシリーズの場合

同じ性能のものでも難聴の程度により補聴器の大きさが異なります。

耳掛け型

  • 価格 \140000(片耳)

大

耳穴型

  • 価格 \160000(片耳)

小

 

<primax1シリーズについて詳しくはこちら>

まとめ

補聴器は聞こえを補うためのたいへん便利な道具です。毎日欠かさずご使用になられている方もたくさんいらっしゃいますよね。しかし補聴器は聞こえを「補助」するためのものであり、難聴になる前と同じように言葉が聞き取れるというわけにはいかないこともあります。耳や身体の状態は日々変化していきます。適切な補聴器の選択と音の調整を繰り返し行いながら、上手に補聴器を使いこなしましょう。そのためにはお店選びも大切ですので、経験豊富な補聴器専門店での購入をおすすめいたします。

 

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耳穴式補聴器 専門店 耳型採取