
現在補聴器をお持ちの方はその補聴器を装用するとどれぐらいの効果がでているか測定をしてもらったことはありますか?聞こえの状態を確かめる方法として補聴器の効果測定というものがあります。補聴器をつけていない状態での聞こえ方と補聴器を装用したときの聞こえ方を比較することで効果とその限界を知ることができます。今まで効果測定をしてもらったことがないという方は補聴器専門店で一度相談されてみてはいかがでしょうか。
効果の大きさや感じ方には個人差があります
『私は補聴器をするとよく聞こえるのに近所の友達は補聴器をつけてもあまり聞こえないと言ってるの。なんでかしら?』先日こんな質問をお受けしました。補聴器の効果は搭載されている性能の違いによることはもちろんなのですが、お使いになる方の耳の状態や意識の違いなどによっても個人差がでます。ご自身と同年代の方であっても補聴器の評価が大きく異なるケースは珍しくありません。それには聴力低下が単に加齢によるものだけでなく、病気やケガによるものであったり、その両方によるものだったりとその原因が複雑なためです。ですから耳の状態や難聴の程度などによって補聴器の効果をすぐに実感しやすい方、あまり効果を感じないという方など個人差がでてくるというわけです。
効果の感じ方に個人差がある場合の例
- 補聴器の音の調整、形状や使用方法が適切になされているかどうかによるものです。何年も音の調整を行っていなかったり、他人から譲り受けたもの、通信販売等で購入された補聴器では聴力に合っていない可能性があります。またきちんと耳に装用できていなかったり、間違った使い方をしていると、当然ですが補聴器をしても聞こえません。いずれの場合も専門家に一度相談されることをおすすめします。
- 言葉を聞き分ける力(弁別能)の違いによるもの。この弁別能の状態が良いと比較的効果を実感しやすい方が多いです。
- 補聴器を使いこなそうする意欲や理解しようとする意識の違いによるもの。例えば「補聴器なんてやりたくないのに家族につけるよう言われて仕方なく購入した」という方や「面倒だから使用したくない」という方はなかなか補聴器に慣れないケースが多いため効果も実感しづらいでしょう。また「つけても元通りに聞こえないから意味がない」という方もいらっしゃいますが、補聴器は聞こえを補助するものですので残念ながら正常な聞こえに戻せるわけではありません。思い通りに聞こえないこともあるかもしれませんが、専門家と相談しながら上手に使いこなしましょう。
- その他難聴の進行状態や、耳に影響のある病気を患ったことなどが原因で「音は聞こえても音感が変わってしまっている」「些細な物音でも気になり聴覚が過敏になってしまっている」という場合も正常な聞こえに近づくことが難しくなります。こちらは慎重な音の調整が必須ですが補聴器では限界もあるため満足のいく効果が出ないこともあります。
聞こえをグラフ化する
では補聴器をお使いの方が実際にどれくらい聞こえが改善されているのか?というのは少し分かりにくいですよね。そこで補聴器をつけていないときと、つけているときの聞こえ方をそれぞれ測定して、それをグラフ化することで目で見て比較をする方法があります。これを効果測定といって補聴器がその方の耳に合っているかどうかを判断する基準となります。客観的な測定方法の代表として「閾値測定」と「語音明瞭度測定」というものがありますのでご紹介します。
閾値測定とは
「ピーピー・ブーブー」などの音がどのくらいの大きさで聞きとることができるのかを測定します。一例として下の表のように補聴器をつけていないときは55dB~60dBという音の大きさでなければ聞こえなかった方が、補聴器をつけるとそれより小さい25dB~30dBの音の大きさでも聞こえるようになったことを表しています。全体的にみてこの▲と△の数値に差がない場合は適合不十分と考えられ補聴器を再調整する必要があると判断する目安となります。
語音明瞭度測定とは
こちらは「ア・ク・バ」など言葉がどのくらい正確に聞き分けることができるのかを知るために行います。方法としては小さい音から大きな音まで各音量で語句を聞いてそれを紙に書き取っていきます。補聴器をつけたときと、つけていないとき両方を測定してその正解率を比較していきます。
例えば下の表ですと△の補聴器をつけていないときは80dBという音の大きさで語句を聞いたとき80%正解しています。50dBでは10%しか正解できませんでした。そして▲の補聴器をつけているときでは70dBと60dBで85%正解しています。50dBでも80%正解しています。補聴器をつけると正解率が上がっていますのできちんと適合しているといえます。■のように正解の値が最高でも65%では、補聴器をつけていないとき(最高で80%)より正解率が低いため再調整が必要です。
下の表はあくまでも一例ですので、お使いの方の聴力や言葉を聞き分ける力によってかなりの個人差があります。かなり進行したケースでは例えば正解率が最高で5%だった場合、補聴器で音量をサポートしても最高で15%までしか正解率が上がらないという方もいらっしゃいます。音は聞こえているけど言葉としてはわからないという状態です。これは耳の中の細胞の状態などによって左右されますので、適切に補聴器の調整が行われていても100%正解するわけではなく、言葉の聞き取りには限界もあるということです。
補聴器の効果を最大限に発揮させるためにはお店選びが大切
どんな聴力の方であってもお使いになっている補聴器の効果を最大限に発揮させるには適切な音の調整、定期的なクリーニング、正しい使用方法を守るということがまずは大前提となります。あまり効果を感じないという方は、単に音量が小さいだけ、補聴器に耳垢が詰まっていて機能していない、耳にきちんと装用できていなかったというケースもあります。専門家と再確認してみると解決する場合もあります。
「主観的評価=ご自身が実感している補聴器の効果」だけではなく「客観的評価=測定することでわかる具体的な補聴器の効果・ご本人以外の周りの方が感じる効果」も確認することで補聴器への理解も深まるのではないかと思います。そのためには以下のようなお店選びをされるとよいと思います。
- 通信販売・インターネットでの購入は避ける
- 補聴器専門の販売員がいるお店
- 購入後の調整・点検・クリーニング等をきちんと受けられるお店
- 補聴器の適合測定を行っているお店
- ご予算に応じた補聴器を提案するお店
- 耳鼻咽喉科医師と連携のとれているお店
お使いになる方にとって最適な補聴器を選ぶ
補聴器はきちんと耳に合っているものをと言われても様々な機種があって実際はどれを選んだらいいのかわからないという方も多いかと思います。形状・機能・使用方法・価格などを総合して決めていかれると思いますが、耳の状態や操作の面から必ずしも希望される機種をおすすめしない場合もあります。例えば耳ダレがあったり耳垢が湿っぽいタイプの方にはできるだけ故障しにくい機種をご提案するといったケースなどです。専門店でよく相談をして納得のいく補聴器を選びましょう。
小さくてできるだけ目立たない補聴器がいい方に
耳穴式補聴器CICタイプ
- 耳穴に収まるので装用しているのが目立たないタイプ
- 耳の型をとり作成する完全オーダーメイド
- 小さいので手先や目の不自由な方には電池交換などが操作しづらい面もある
会議や集まりにでることが多い方には多機能なものを
耳かけ式補聴器RICタイプ
- リモコンやスマホアプリを使えば環境に応じた音量などの細かな調整が可能
- 軽度から高度難聴まで対応
- 小さくて目立たない耳かけ式
- 電池交換のいらない充電タイプもあります
なるべく操作が簡単なものがいいという方に
充電式の耳かけ式補聴器
- 面倒な電池交換が不要
- 充電器にのせれば自動で電源OFF・取り出すとONするので簡単
- 細かい作業が苦手な方にもおすすめ
まとめ
音がどれぐらい聞こえているのかというのは目で見てわかるものではないので、なかなか判断しづらい面があるかもしれません。補聴器は作成後も定期的に聴力測定や効果測定を行ってその効果を確認していきます。補聴器が聞こえを補うことには限界もありますが、少しでも聞こえやすくするための大切な作業となります。今まで測定をしてもらったことのない方は補聴器専門店までご相談ください。
当社関東補聴器でももちろん効果測定を行っております。他店で購入された補聴器でも測定は可能です。予約制となっておりますのでご希望の方はお近くの店舗までご連絡をお願いいたします。